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2005年03月08日

【合併5】財政措置によるプラスと、普通交付税の減額によるマイナス

 “【合併4】合併に際しての財政措置の一覧表に”、合併すると貰えるお金について整理しました。
 貰えるお金について書いたので、減る方の事も書きます。
 
 “【合併 3】デメリットも、メリットも隠さず見せてフェアに”に書きましたが、合併すると普通交付税は減額になります(秋田県の市町村合併のサイト(PDF)参照)。
 合併後10年間は、算定替えという制度によって合併しなかった場合と同額の普通交付税が交付されますが、11年目から減少します。しかし、合併協議会の財政シミュレーションは10年間分しか記述されていない為、その様子を見る事ができません。
 
 ポイントは、最終的に合併後の普通交付税がどの程度になるかですが、「基本的推計方法」(PDF)の普通交付税の欄に『H27からは、一本算定(10.9%減)へ5年間(H27〜H31)漸減。』と書いてあります。合併後16年目からの一本算定(新市の基準で算定)においては10.9%減になるという事のようです(この一箇所以外どこにも書いてないんですけどね)。
 この数字の根拠は確認できておりません。この数字が、例えば人口の減少などによって変わらないものなのかどうかも判りません。以前にも書いたように、11年目以降の財政シミュレーションもきちんと示してほしいと思います。

 さて、普通交付税が10.9%減少するらしい事がわかりましたので、これと前回整理した合併した時に貰えるお金を合わせて、合併した場合と、しなかった場合とで国と、県から入ってくるお金が25年間でどう変化するのかグラフ化してみました。

図をクリックすると拡大します。

図をクリックすると拡大します。

 間違いがありましたら、お手数ですが掲示板までご指摘下さい。間違っている事がわかり次第、速やかに訂正します。

※このグラフは、第三者による検証を受けていません。間違っている可能性もあります。どうか、鵜呑みになさらないようにお願いします。議論の際の叩き台としてご利用頂ければと思います。

 このグラフで示したかったのは、合併した時はお金が入ってきても、11年目以降は逆転してしまうという事です。11年目以降逆転するのは間違いないはずです。
 「そんなことぐらい、知ってるよ」と言われるかもしれませんが、他サイトの掲示板などを見ていると必ずしもよく理解されていないような気がしたので一応書くことにしました。


■グラフの概要

 このグラフで表している数字は、「普通交付税+合併時の財政支援のうち貰える形になる額」です。歳入全体を表したものではありません。
 また、ここで言う普通交付税は、合併特例債の償還用の交付税のようなイレギュラーなものは含まれていません。合併協議会の財政シミュレーションでは、こういった交付税も含んだ形(“合併特例債分”という項目)で記載されていますのでご注意下さい。
 赤い線が“合併した場合”、青い線が“合併しなかった場合の三町村の合計”です。表では、B.合併した場合の行、A.合併しない場合の行にそれぞれあたります。

 見てお分かりの通り、最初の10年間は合併時の財政支援がありますので赤線が上回り、11年目から逆転し、以降はずっと青が上になります。ですので、最初の10年間で上回った109.2億円分はどこかの時点でチャラになります。とは言うものの、109.2億円というのは大きな数字で、かなり先にならないとチャラになりません。
 もっとも、合併すると貰える109.2億円とは別に自己負担が44.7億円発生します。その内38億円は借金ですので、それを差し引くとチャラになる時期は早まりますけどね。


■数字の根拠

 普通交付税から考えます。
 普通交付税は、合併すると一つの自治体としては人口が増えますので減額になります。
 しかし、最初の10年間は算定替えという制度で合併しなかった場合の三町村の合算額と同じ額が交付されます。ですので、合併協議会の“財政シミュレーション(PDF)”から最初の10年分の数字を拾いました。(ちなみに、財政シミュレーションでは、県からの「三位一体の構造改革の影響で10年間で普通交付税が30%ぐらい減るだろう」という話に基づき、前年度比3%減で10年間減少させているそうです。)
 これが、最初の10年間の青い線(合併しない場合)になります。
 赤い線(合併した場合)は、これに特例債や、補助金なのが上乗せされます。上乗せ分は、表では、“C.合併時増加分”という行になります。この内訳は、その下の行に書いてある通りで、9/13版の財政シミュレーションから数字を拾いました。但し、特例債については、9/13以降に80%しか利用しないように変更されたようですので、9/13版の数字に80%を掛けています。最新の財政シミュレーションとは各年度の数字が若干異なっているかもしれませんが、10年間の総額(76億円)はあっているはずです。

 合併協議会の“財政シミュレーション(PDF)”は、10年分しかありません。11年目以降の交付税については、三位一体の構造改革による大きな変化は収まっているだろうと考え、三町村の人口の推移に合わせました。
 これが11年目以降の青い線になります。

 赤い線(合併した場合)は、11年目からは、激変緩和期間に入ります。
 5年間で、90%, 70%, 50%, 30% 10% と段階的に減っていき、16年目には新市の基準に従った交付額まで減少します。この減少額が、先に書きました10.9%減という数字です。これが妥当な数字なのかどうか裏付けは取れていませんが、ここではその数字を使っています。この数字になるように5年間かけて減少させ、16年目以降は、単純に青い線の数値から10.9%引いて(実際には、89.1%を掛けて)います。
 この減少分が、表の“D.普通交付税の減少”という行になります。


■グラフを見る際の注意

・扱っている項目
 ここで扱っている項目は、普通交付税と、“【合併4】合併に際しての財政措置の一覧表”で書いた財政措置のうち貰える形になる額だけを扱っています。
 で、先ほど書きましたように、ここで言う普通交付税は、合併特例債の償還用の交付税のようなイレギュラーなものは含まれていません。
 これらの項目を対象にしたのは、合併した場合と、しなかった場合とで大きく額が異なり、財政状態を知る上での目安になると考えたからです。

・歳入全体のどの程度にあたるのか?
 ここで記述した額が、歳入のどの程度の割合になるのかですが、グラフでは合併した場合の平成17年の金額が 8,074百万円となっています。財政シミュレーションでは平成17年度の歳入は18,526百万円となっていますので、歳入全体はこのグラフの2倍ちょっとと言う事になります。


■ご協力をお願いします

 自分で言うのもなんですが、グラフにすると判りやすいと思います。

 このグラフや、【合併4】合併に際しての財政措置の一覧表について、去年作成した「曳山運行ムービー」や、いま作成している「人形場面データベース」のように、皆さんのご協力で正しいものに仕上げていければと思います。
 特に、行政のご担当の方は、詳しい事と思いますのでご協力頂けるとありがたいです。
 合併しても、しなくても、議員の数は大幅に減り、職員の数も減り、限られた予算で行政を運営していかなければならないものと思います。これからの行政は、いままでより以上に住民の参画が求められるのではないでしょうか? いままでは、行政というとちょっと敷居が高い印象がありましたが、これからは敷居をぐっと低くして、住民と一緒になりながら運営していく。そんな形になるんじゃないかという予感がします。
 そういう意味でも、行政を担当されている方のご協力を頂ければありがたいと思う次第です。

投稿者 taguchi : 2005年03月08日 00:23