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2005年12月01日

“日本カジノ創設サミット in 秋田”に行こう(その1)

 12月10日(土)に、秋田市のアルヴェで“第3回日本カジノ創設サミット in 秋田”が開催されます。

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 カジノは、石原東京都知事が“お台場カジノ構想”を提唱して注目されるようになりましたが、それ以前から“イーストベガス推進協議会”ではカジノ誘致の活動をしていたそうです。国会では野田聖子議員などを中心にカジノ法案成立に向けて活動されており、早ければ2005年にも法案が通るのではと言われていたようですがまだ実現していません。
 しかし、機は熟しつつあるように思います。そう遠くない将来、日本でもカジノが認められるようになるでしょう。


 もし法案が通れば、第一段階に於いて全国で10箇所程度の地域にカジノの設置が認められるだろうと言われています。
 今カジノ誘致に手を挙げているのは、秋田市(旧雄和町)、東京都、熱海市、加賀市、糸満市など全国で20数箇所あるようです(こちらを参照:FRaU東京コンシェルジュ)。

 第一段階で10箇所程度の地域に限定されていたものを、その後段階的に増やしていくものと思いますが、はたしてその段階で参入する事ができるのか気になるところです。
 後からでも参入できるなら慌てる必要はないのですが、数県に1自治体とか、県に1自治体という形になってしまいますと、第一段階で秋田市への誘致が決まればその後仙北市に誘致する芽はなくなるわけです。秋田空港のそばに巨大なカジノ・ホテルが建てば、仙北市の宿泊客がそちらに奪われる恐れもあります。そうなってから「あの時やっておけば...」と言っても後の祭りです。最終的に誘致するにしても、しないにしても、せっかく秋田で開催されているのですからこの機会を逃さず情報収集するべきだと思います。


 私自身はギャンブルには全く興味がありません。なんですが、なんの因果かラスベガスに2度行った事があります。ですので雰囲気はなんとなく分かるのですが、今回この文章を書くにあたり、今回のサミットにも公演者として出席される大阪商業大学学長の谷岡一郎さんが著された『カジノが日本にできるとき』という本を読ませて頂きました。
 本も、参考にさせて頂きながら思うところを書いてみたいと思います。
(文中『カジノが日本にできるとき』を直接的に引用した部分は線で囲んで表記してあります。)


■なぜ今カジノなのか?

 現時点で全国で20箇所以上の自治体がカジノ誘致に手を挙げています。法案の実現が近づけばその数は更に増えるものと思います。
 なぜ、これらの自治体はカジノを誘致しようとしているのでしょうか?

○カジノの地域にもたらす大きな経済効果
 人口減少、少子高齢化により地方経済はその厳しさを増していくと予想されており、この状況を打開する為に地域経済を活性化させる産業が求められています。

 そこで注目されているのがカジノです。
 カジノの経済効果は非常に大きなものがあります。よく例として引き合いにだされているようですが、米国のミシシッピ州のチュニカ(tunica)という人口1万人の小さな町は、カジノを導入してからわずか9年間でカジノの収益が1,400億円/年、カジノ・ホテルの従業員数が15,000人になったそうです。
 これは米国に於いても奇跡と言われている例ですし、日本とは環境が異なりますのでこれほどまでの大きな数字にはならないとは思いますが、一般にカジノの経済効果は大きいものがあります。

○自治体の新たな財源
 三位一体の構造改革により、国から地方への金の流れが減少し自治体の財政は厳しい状況にあります。
 公設カジノならカジノの収益が直接自治体の財布に入りますし、民設としてもカジノ税が徴収できます。

○雇用吸収力が大きい
 労働集約的な産業ですので、大きな雇用が発生します。
 先のチュニカの例でも9年間でカジノ・ホテルの従業員が15,000人(関連産業分は含まず)に増えていることからもそれがうかがえます。

○独占的なビジネス環境
 カジノ法案の内容や、その後の運用にも依存しますが、カジノは許認可された地域にしか作れませんので、一旦認可されてしまえばある程度独占的に事業ができるものと思います。
 立場を変えれば、はじめに参入しなければ、後から参入する事ができないということでもあります。

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■カジノってパチンコとどこが違うの?

 パチンコ屋は日本中いたるところにありますが、カジノは許認可された特別な地域にしか作られません。これは諸外国に於いても同様です。

 身近な所にあるパチンコ屋には平日の暇なときや、土日に行く事ができますが、認可された地域にしかないカジノには日常的にでかける事はできません(たまたまカジノのある町のそばに住んでいれば別ですが)。通常カジノは、カジノのある町までの旅行とセットになります。
 従って、カジノの顧客は、地元の住民ではなく、主に観光客です。この点がパチンコと大きく異なります。

 旅行ですから一人で出かけることは少ないでしょう。家族や、友人と一緒にでかけ、観光名所を巡り、美味しいものを食べ、夜はショーを見たりカジノで遊んだりするというのが一般的なスタイルだと思います。パチンコとはかなり異なりますよね。
 これは、カジノを訪れる客の男女比や、年齢にも現れているようです。
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・ラスベガスを訪れる客の男女比は、半々。年齢は40,50歳代が多い。
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 収益構造に於いてもカジノはパチンコと異なっています。
 パチンコは遊興の売上げのみが収益源ですが、カジノはホテルに併設されてるのが一般的ですからホテルの宿泊費や、食事などからも収益が上がります。
 そういう意味では、カジノは観光客を惹きつける為のホテルのオプションだと考えた方が適当かもしれません(地域から見れば、地域の交流人口を増やすための施策の一つと考えられます)。


■カジノ誘致は、カジノの為だけにあらず

○コンベンションビジネスの発展
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・ラスベガスにおいて年々ギャンブルが主目的の訪問者は減っており1999年で8%に過ぎない。
・ラスベガスの訪問客の10%は、コンベンション(展示会などの催し)が目的。
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 これは、コンベンションビジネスが非常に発達したラスベガスでの数字ですので、他のカジノの場合はもっと低い数字になるかとは思いますが、カジノの町は一般にコンベンションビジネスに力を入れています。それは何故でしょうか?

 観光客の来訪には季節による波があります。また、休日に多く、平日に少ない傾向があります。コンベンションはビジネスマンがターゲットですから観光シーズンに左右されませんし、通常平日に開催されますので、コンベンションを観光の閑散期や、平日に開催すればホテルの稼働率が平準化され利益率が向上するわけです。

 また、大きなコンベンションを開催する為には、大勢の参加者が宿泊できるだけのホテルが必要になります。元々カジノの町は多くのホテルを持っておりますので参入が容易なのです。(そういう意味では旧田沢湖町もその条件を満たしていると思います。)

 カジノの誘致は、仙北市が『観光の拠点都市』としてだけではなく、『コンベンションビジネスの拠点都市』として成長するきっかけになるのではないかと思います。個人的にはこちらの期待が大です。
 カジノを 観光客や、ビジネスマンを惹きつけるオプションとし、「新幹線が停まる」、「秋田市と、盛岡市の中間地点」といった地の利を活かして北東北のコンベンションビジネスの拠点を目指すというのもよいのではないかと思います。

参考:
 ・青森県コンベンション誘致協議会
 ・(財)秋田観光コンベンション協会(主に秋田市)


○エンターテイメントビジネスの発展
 ラスベガスでは常時いくつものショーが開催されています。
 優れたエンターテイメントを見ることができるのもラスベガスを訪れる楽しみの一つでしょう。中には私のようにカジノに興味のない人もいるでしょうし、家族で出かければ子供も一緒でしょう。カジノとは別エンターテイメントがあればより多くの人を惹きつける事ができます。

 神代では、わらび座の演劇を見ることができますが、そういう意味では既に『エンターテイメントの拠点都市』だと言ってよいのかもしれません。カジノをきっかけに更に劇場ができたら益々面白くなるでしょう。


~~~~ “日本カジノ創設サミット in 秋田”に行こう(その1) おわり ~~~~

 その2では、カジノの実現イメージと、そのもたらすプラスの効果と、マイナスの効果について書いてみたいと思います。


 さて、カジノ創設サミットは今回が3回目ですが、秋田で開催されるのはこれが最初で最後だと思います。カジノの誘致をしないとしても、秋田空港のそばにカジノができれば仙北市の観光にもインパクトがあるでしょう。そこと連携するにしても、競合するにしても情報収集は重要でしょう。

 12/10(土)午後1時〜
 会場:秋田市アルヴェ

 ※入場無料だが、参加申し込みが必要。
 第3回日本カジノ創設サミット in 秋田

投稿者 taguchi : 2005年12月01日 01:36