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2005年12月04日
( Casino Seefeld : ドイツ )
■カジノのもたらすプラス効果と、その規模
その1の「なぜ今カジノなのか?」に書いた事の繰り返しになりますが、カジノ誘致は以下のものに対してプラスの効果があります。
○ 地域経済
後で述べるようにカジノには大きな経済効果が期待できます。
また、カジノが起爆剤となり、観光産業など他の産業が発展する事が期待されます。
カジノには季節性がありませんので、観光客数の季節変化を平準化し収益性を高めます。
事業を始めるには許認可が必要ですので、他地域が容易に参入できません。
○ 自治体の財政
所得税や、法人税などとは別にカジノ税のような形で課税でき、自治体の新たな財源となります。
米国では、カジノから上がる税金を福祉目的税とし、少子高齢化による福祉予算の財源としている所があるそうです。これは仙北市にも参考になるでしょう。
○ 雇用
カジノは労働集約的な産業ですので雇用の増加に寄与します。また、カジノをきっかけに成長が期待される観光産業も労働集約的な産業ですから相乗的な効果があります。
雇用が発生すれば人の流出が減少するでしょう。そういう意味で少子高齢化にもプラスの効果があります。
さて、では効果の規模はどのぐらいなのか? という事ですが、これはどの程度の規模のカジノを造るのか、また近隣の自治体にもカジノができるかどうかといった事に依存しますので一概には言えません。先ずは、『カジノが日本にできるとき』から米国の例を見てみましょう。
○ニュージャージー州 アトランティックシティ(人口約4万人)の例
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カジノ・ホテルの12軒の2001年の従業員数:5万人あまり
※これは直接雇用の数字であり、間接的なものも含めれば2,3倍。
支払われた給与:1,300億円
従業員の内訳:
・ホテルの従業員 36%
・カジノ 64% (3%:主要監督業務、44%:ディーラー、17%:会計事務等)
カジノ・ホテルから支払いを受けた業者数:7,400あまり
業者に支払われた金額:3,000億円
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別のデータによれば、アトランティックシティのカジノ・ホテルの従業員の年収は300万円程度。ただし、44%を占めるディーラーにはチップの収入が別途あります。
80kmほどのところにフィラデルフィア(人口150万人)があります。
○ミシシッピ州 チュニカ(tunica)(人口約1万人)の例
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人口1万人の、非常に貧しい地域だった。
1991年議会でカジノ合法化法案通過。
1992年10月に最初のカジノ運営スタート。
年 ホテルの客室数 カジノ・ホテル従業者数 カジノ収益
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1992年 20 350人 −
1996年 3,315 12,699人 1,000億円
2000年 6,320 15,556人 1,400億円
・カジノの数:10箇所。
・年間訪問客数:1,000万〜1,200万人。
・客室稼働率:89%
・10年間でのチュニカへの民間投資:3,900億円。
・コンベンション等:2000年の半年で、351回のコンベンション(催し)、89回のカンファレンス(会議)、6回のトレードショー(見本市)を開催。
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9年間という非常に短い期間で爆発的にホテルの客室数が増え、雇用が増大しています。また、ホテルの客室稼働率が89%と非常に高いです。なにもない貧しいところだったそうで、カジノに対して制限を設けず自由にやらせたのが大きな効果を上げる事に繋がったとのことです。
60kmぐらい北にギャンブルが禁止されているテネシー州の州都メンフィス(人口65万人)があります。
( Grand Casino Tunica :アメリカ )
仙北市には既にホテルや、旅館が多く存在し、観光客も大勢来ております。観光客が全員カジノをやるわけでもありませんので、チュニカのような劇的な変化は起こり得ないと思います。しかし、短期間で大きな経済効果を生む可能性は感じられます。
また、10年間で3,900億円という民間投資は目を見張るものがあります。仙北市が起債できる合併特例債が10年間で140億円程度(うち3割は要返済)であることを考えると、人口1万人の地域に投資されたこの数字がいかに巨大なものかがわかります。
元々なにも無いところにカジノホテルを造った為、大きな投資が発生したという事だと思いますが、有望な投資先にはこんなにも大きなお金が集まるものなのかと驚かされます。
2つの例から、大きな効果が経済、雇用に期待されるところです。しかし、当面は強い制限の元で運用される事になるでしょうし、日本には既にパチンコ屋が存在しています。また、周辺都市の人口の違いもありますので、日本に於いてはこれほど大きな数字にはならないのではないかと思います。
とは言うものの、大体どのぐらいの規模になりそうなのか分からないと雲を掴むような話ですので、これら米国の例などを参考にしながら仙北市に誘致した場合の効果を“前提を置いた上で”計算してみました。
なにぶん素人がやっている事ですので基礎数値が現実的でなかったりするかもしれません。おかしな点がありましたらご指摘いただければと思います。
以下の2種類の条件で試算しました。控えめにしたつもりですが、どうでしょうか...
交流人口の増加 カジノをやる人の割合 一人当たりが使うお金
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試算1 15% 13% 8,000円
試算2 30% 23% 8,000円
あと、オマケで仙北市の唱えるテンミリオン計画がカジノ誘致で実現したらどうなるのかについても試算してみました。
試算3 100% 50% 8,000円
■こんなアイデアも
ジャストアイデアですが...
○田沢湖畔のPホテル
田沢湖畔にある田沢湖Pホテルは毎年冬の期間休業しています。今年は11/6〜4/21、およそ半年間の休業だそうです。ロケーションはいいのにもったいないなぁと思っています。
そこで、Pホテルのフロアを借りてカジノを開設したらどうでしょうか?
カジノに季節は関係ないので冬でも客を呼べます。眼下には真っ青な田沢湖を、その向うには真っ白な駒ケ岳を窓の外に眺めながらカジノを楽しむ。リッチな気分を満喫できること受け合いです。
国内の観光客だけでなく、韓国や、中国の観光客へ当地を売り込むアピールポイントにもなるでしょう。
○カジノ船ならぬカジノ列車
秋田内陸縦貫鉄道は、厳しい経営状況が続いていると聞いております。
『カジノが日本にできるとき』によれば、米国には『リバー・ボート(カジノ船)』というのがあるとの事。ならば、列車で旅をしながらカジノを楽しむことができる『カジノ列車』はどうでしょうか?
車窓に流れる景色を眺めながらのカジノをやるのも、普通のカジノとは違った雰囲気が楽しめていいと思います。
カジノ法案が通れば国内にカジノが数箇所ができますが、カジノ列車はここ唯一つ。他の地域のカジノと差別化できます。いや、世界広しと言えども『カジノ列車』はここにしかありませんので国内と言わずきっと世界中からTVクルーが取材にきますよ。
収益は乗車賃だけではなく、カジノの収益からも直接得る事もできるでしょうから経営的にも大きいと思います。
ネオンで飾り付けて「ラスベガス号」...では美しい里山の風景に似つかわしくありませんのでヨーロッパの古い列車のような高級感のあるシックな車両でいきましょう。
( SpielBank :ドイツ )
■懸念されるマイナス効果
『カジノが日本にできるとき』では、カジノに反対する理由としてよく揚げられる次の5つを示しています。
1.犯罪が増え、町の風紀が乱れる
2.ギャンブル依存症患者が増える
3.青少年に悪影響を与える
4.勤労意欲を減退させる
5.ヤミ組織の資金源になる
『カジノが日本にできるとき』では、2のカジノ依存症の人によって発生する社会的なコストが一番の問題だけれど、既にパチスロがありカジノを新たに導入したとしてもそれほど大きな問題とはならないだろうとしています。
しかし、一般の人たちが最も心配されるのはおそらく1と、5のヤミ組織、すなわち暴力団が入り込んできて町の風紀が乱れることではないでしょうか?
『カジノが日本にできるとき』では米国における“カジノによって犯罪が増えた実績はない”という調査結果を示しています。また、ラスベガスは米国で最も安全な都市と言われているそうです。と、言われても本当に大丈夫なのか心配です。
いざとなればライセンスを取り消す権利を自治体が有するものとは思いますが、なんでも自由に取り消せるものでもないでしょうし、その辺りの法的な枠組みがどうなっているか確認したいところです。
さて、観光地であるこの地域には上記の5つ以外にも心配されることがあります。
それは、地域のイメージへの影響です。
カジノに対しては、パチンコや、競馬などのギャンブル全般に向けられるのと同様の“好ましくないもの”という印象がつきまとっているでしょうし、この地域の“自然の豊かさ”や、“伝統”といったイメージにそぐわないと感じる人もいるでしょう。以前、旧田沢湖町の友人に「田沢湖町にカジノ作ればいいのに」と言って怒られた事があります。やはりあまり印象はよくないようです。
チュニカのように非常に貧しく、特に失うものもない地域であれば問題ないのかもしれませんが、他の地域にはない豊かな自然と、伝統を活かして観光に力を入れている地域ですから、カジノができる事によってそのイメージが壊されてしまうのは困ります。
カジノが現在の地域のイメージとぶつかり、地域の価値を下げてしまうのか、それとも地域の産業や、風景と調和しその価値をより高めてくれるのか。それは『どんな形でカジノを実現するか』にかかっているのではないかと思います。
それを次に考えてみたいと思います。
( Spielbank Lindau :ドイツ )
■仙北市にカジノができるとき
仙北市にカジノができるとしたらどんな形になるのでしょうか?
今あるホテルや、旅館の中にカジノが作られるでしょうか? それとも巨大なカジノホテルが新たにドーンと建てられるのでしょうか?
私の想像では...
○先ずは1箇所。設立の形態は公設か、第三セクター
カジノを営業するライセンスは、おそらく自治体が発行する事になるでしょう。不正を排除する為自治体に与えられる権限は大きなものになると思われます。造るカジノの数や、場所、掛金の上限などの規制も自治体がコントロール可能になるのではないかと思います。
日本にとってはカジノは始めての経験ですから、最初は制限を強くかけた形で運営を始める事になるだろうと思います。設立の形態も、コントロールし易い『公設』か、『第三セクター方式』になるのではないでしょうか? そうなりますと、外部の大きな民間投資は期待できませんので、規模はそこそこで、とりあえずは1箇所だけの設立という事になるのではないかと思います。
ある程度年数が経った段階で社会的な評価を受けて、次の段階に進むかどうかを検討する事になるのではないでしょうか?
○宿泊施設を持たない施設
この地域には多くのホテルや、旅館がありますので、民業を圧迫しないようにする意味でも、宿泊施設を持たない施設、つまり米国型のホテル併設型ではなく、ヨーロッパ型のカジノハウスのような形になるのではないでしょうか?
○場所は、やっぱり田沢湖周辺
地元の人が相手ではなく、観光客が相手ですから、町の中ではなく郊外に、また宿泊施設を持たないとすれば既存の宿泊施設から交通の便の良いところに造らなければならないでしょう。そういう意味では、田沢湖周辺が良いのではないでしょうか?
○カジノというよりリゾート(スパ/クアハウス)
ヨーロッパでは、カジノは温泉リゾート地にある事が多いそうです。
日本でも、高齢化社会になるに従い健康に関心を持つ人が増えてきていると思いますが、同時に質の高いスパや、クアハウスに対するニーズも高くなってきているのではないでしょうか?
温泉に入って心と体を癒し、昼は観光を楽しみ、夜はカジノで遊ぶ。退職した後の余暇をそんな風に過ごしたいと考えている人達のニーズがこれから増えてくるのではないかと思います。
仙北市のカジノは、カジノだけの施設とするのではなく、温泉スパや、クアハウスなどのリゾート施設の一部とし、こうしたニーズを持つ人達にこの地域のイメージが分かり易く伝わるような象徴的な施設とするのが良いのではないかと思います。
一方、秋田市(旧雄和町)の空港近くにカジノが建設されるとしたら、元々何もないところですのでホテル併設のアメリカ型の大きなカジノホテルが建設されるのではないでしょうか? またおそらく秋田市民も顧客として考えている事と思います。そちらとの差別化を図る意味でも仙北市のカジノは観光客のリゾートを意識したスタイルの方が好ましいと思います。
素人のくせに色々書きました。ウソかホントか、合っているのかどうか全然分かりません。しかし、カジノについてはみんな素人。勉強しないければみんな一緒。
先ずは、みんなで“カジノ創設サミット in 秋田”に行って勉強しよう!
(ちなみに、私は東京なので行けません。角館にいれば行くんだけどなぁ...)
12/10(土)午後1時〜
会場:秋田市アルヴェ
※入場無料だが、参加申し込みが必要。
第3回日本カジノ創設サミット in 秋田
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ドイツのカジノを紹介するサイトを見つけました。施設の外観をご覧下さい。ラスベガスとはずいぶん異なった雰囲気です。こんなカジノならちょっとおしゃれして行ってみたくなります。Casinos in Deutschland
参考リンク:
・第3回日本カジノ創設サミット in 秋田
・カジノタイムス
・カジノニュース
・「東京都都市型観光資源の調査研究報告書」の発表について
・沖縄県 エンターテイメント事業可能性調査報告書(PDF)
・日本カジノスクール
投稿者 taguchi : 2005年12月04日 11:37
メタローです。どうも、ごぶさたしておりました。
私は、オランダの北海沿岸にあるカジノに1回だけ。
なので、ラスベガスのようなギンギラギンのカジノ経験はありません。
ドイツの写真にあるような、いい雰囲気のお店でした。
意外と田沢湖にあうカモ、です。
あとは、思いっきり和風なカジノを、角館に!
投稿者 メタロー : 2005年12月06日 19:16
メタローさん
コメントありがとうございます。
私は、ヨーロッパのカジノは行った事がないんですよ。
ラスベガスのギンギラギンはこの地域には合わないと思います。落ち着いた大人の風情のヨーロッパ風のカジノが良いなと思います。
和風カジノ。半か丁かの世界ですね。当然チップは木札。
なんかいいかも。
投稿者 20年ぶり : 2005年12月06日 22:57
管理人様初めまして。おそがけ新聞から飛んできました。
いや〜、すごいですね。
私も一応カジノサミットを応援してますが、管理人様のように緻密な考えは持ちませんでした。
ご存知かと思いますが、秋田のカジノを主謀しているのは
「イーストベガス推進協議会」http://www.eastvegas.org/index.html
というところで、首謀者の方とは数年来メル友をやらせてもらってます。
なので、このブログ紹介しておきました。
投稿者 ロンリーROM : 2005年12月07日 11:59
ロンリーROMさん
はじめまして、20年ぶりですと申します。
> 緻密な考えは...
全然緻密じゃないですよ〜(汗)
イーストベガス推進協議会さんの活動は以前より存じ上げております。勝手に私のサイト(http://www.kakudate.com/)の「お薦めのサイト」からリンクを張らせて頂いておりました。
石原都知事より以前から活動されていたと言うことで、その着眼点と行動力にはまったく脱帽です。
更新の遅いブログですが、宜しかったらまたお出で下さいまし。
投稿者 20年ぶり : 2005年12月07日 13:27
【カジノ関連ニュース】
自民、カジノ解禁プロジェクトチーム設置へ
2006年 1月25日
gooニュース http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20060125/K2006012503280.html
投稿者 20年ぶり : 2006年02月03日 22:35
【カジノ関連ニュース】
カジノ誘致 わが町に 大商大の研究講座に熱視線
2006年 2月 3日
gooニュース http://news.goo.ne.jp/news/sankei/shakai/20060203/e20060203008.html?C=S
投稿者 20年ぶり : 2006年02月03日 22:36
【カジノ関連ニュース】
カジノ合法化へ本格論議 自民、6月にも基本方針
2006年 2月 25日
gooニュース http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20060225/20060225a1770.html
投稿者 20年ぶり : 2006年03月04日 17:31
【カジノ関連ニュース】
自・民の国会議員がカジノを模擬体験 東京・お台場
2006年 2月 27日
gooニュース http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060227/K2006022702800.html
投稿者 20年ぶり : 2006年03月04日 17:33
【カジノ関連ニュース】
自民党 カジノエンターテイメント検討小委員会「中間とりまとめ」
平成18年 4月27日
http://www.jimin.jp/jimin/daily/06_04/27/180427a.shtml
投稿者 20年ぶり : 2006年05月25日 09:53
【カジノ関連ニュース】
カジノ導入「観光振興で」 道研究会が検討報告 是非の論議喚起へ
2006/05/12
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060512&j=0023&k=200605116970
投稿者 20年ぶり : 2006年05月25日 09:55
【カジノ関連記事】
中国人観光客誘致の切り札はカジノ?
日経ビジネス NB online http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20061121/114186/
投稿者 20年ぶり : 2006年11月27日 02:58