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2005年10月26日

仙北市長選挙公開討論会 その2

 仙北市長選挙公開討論会で、討論された幾つかのテーマについて3候補の意見を見てみたい。

(映像を見ながらバーッとメモしたものを元に書いているので、抜けがあったりするかもしれない。もし、重大な間違いなどに気がついたらご指摘頂けるとありがたい。)

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■新市の将来像

○石黒さん 観光の拠点都市を目指す。各地域の特徴、個性を尊重。
○田代さん 行財政改革を進める。観光よりも市民が暮らしやすい町づくり。2町の綱引きをなくし、三町村の垣根を取り払う。
○佐藤さん 農林業がこの地域の根幹産業。山間部から農村が壊れてきているのではないかと危惧している。農家に元気に。

 三者三様でなかなか興味深い。


■産業について

○田代さん
・農業をやりたい移住希望者に門戸を開く。
・温泉、地熱活用。
・針葉樹、広葉樹のバランスを変える。地球温暖化の防止にも役立つ。
・林道網の整備。
・バイオマスでの発電の実験。
・建設業の活性化、地域の経済対策。
・上下水道の整備。
・水辺の景観保全。
・漁業整備。
・可能な限り地元発注。
・etc

○佐藤さん
・地元で産したものを地元の施設で使う。
・軽トラ100台ならべて青空市場。
・上下水道整備、道路整備が遅れている。
・地元の企業に発注する。

○石黒さん
・仙北市でとれたお米はうまいと言って指名買いしてもらえるようにしたい。
・現在、戦略作物の割合が25%だが、これを50%程度に拡げたい。


 ここでは、田代さんが非常に多くの施策を挙げたのが目立った。
 田代さんは新市の将来像のところで行財政改革を行うと発言されていたので、コーディネータが「先ほど財政改革と言われましたが、今おっしゃられたのは全部金のかかる話です。どうやってやるんですか?」と質問した。それに対して「必要に応じてやっていきます。いままでは過疎債を活用してきたが、これからは特例債、事業債を活用していきます。」と答えられた。
 同じような質問に対して佐藤さんは「創意工夫してやる」と答えられた。佐藤さんは、他のところでも「創意工夫」という言葉を何度か使われていのが印象に残っている。
 石黒さんは「投資対効果を考える。行政の支援は継続する支援ではなく、自立できるまでの支援だ。」と答えられた。

 田代さん、佐藤さんは、事業を地元企業に発注すると言われている。また、佐藤さんは地元で産したものを地元の施設で使うとも言われていた。一方、石黒さんは外貨を稼ぐという言葉を何度か使われていたが、外に売りたいと言われていたところが他の二人と対比を成している。佐藤さん、田代さんの視線は地域内に向けられており、石黒さんの視線は外に向けられているように感じる。

 また、「新市の将来像」のところで観光を第一に挙げた石黒さんが、農業政策において一番はっきりと方針を打ち出している点は注目すべきだろう。


 さて、私は東京という巨大消費地から秋田を眺めているが、秋田の人は宣伝ベタというか、商売っ気がないような気がする。
 何年か前、ネットで胚芽米を売っている店を探していてたまたま“神代のじゃんご米”を見つけた。胚芽米もあったので角館にいるときに、当然売っているだろうと思って角館の米屋に電話をしたら扱っていないとツレナイ返事。それどころか胚芽米というものすら知らない雰囲気だった。しょうがないので近くで売っているところを聞こうと思って、(たしか)神代の農協に電話したら千葉県とか、静岡県の契約した米屋でしか売っていないとこれまたツレナイ返事。
 どうしようかと迷ったんだけど、結局送料払って静岡の米屋から“じゃんご米”買いましたよ(苦笑)。でも、後で聞いたら同じような胚芽米を“じゃんご米”とは違うブランド名で売っていて、それは秋田でも手に入るって言うじゃないですか。「だったら、そう言ってくれよ〜
 角館の米屋さんは消費者のニーズに無頓着のようだったし、神代の農協の電話に出たお姉さんはもうちょっと気を利かせてくれてもよかった。いずれも商売っ気がなさすぎる。
 そんなわけで、積極的にやる気になれば拡販の為にできる事は山ほどあるだろうと思う。

 地産地消もいいだろう。地元から買えば、お金が外に出て行かない。でも、外に売れるものは積極的に外に売るべきだ。特に競争力があって高く売れるものは、地元で消費せずに外に売った方がいい。また、そういう外に売れる競争力のある商品を開発する事が大事だ。
 産業政策は、投資して収益で回収するという発想を持って欲しい。内向きの発想ばかりでは使って終わりだ。ジリ貧になってしまう。


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■仙北市の問題について
 コーディネータからの質問:行財政改革をどう進めるのか? また、金のかかるインフラ整備と、行財政改革をどう融和させるのか?

○石黒さん
 組織機構の改革、改革プロジェクトチームを作る。
 スケールメリットによって人員に余力が出てくるので、いままで外注していたものを職員でやるようにする。

○田代さん
 徹底したコスト感覚で、改革をしていかなければならない。
 地域、集落あっての仙北市である。
 10年で職員を200人削減することになっているが、これを前倒しにする。その為に民間に委託をする。

○佐藤さん
 民間でやれないことだからこそ行政がやる。
 いままで役場は敷居が高かった。役場を住民がもっと利用し易い環境にする。
 分庁舎は住民が困る、本庁舎方式にする。


 石黒さんは組織改革によって生じた人的余力を使って民間委託していたものを内部でやると言い、田代さんは逆に職員削減を前倒する為に民間委託すると言っている。ここでは、石黒さんと、田代さんが対象を成しているところが注目される。

 さて、ここで佐藤さんから本庁舎の発言があったので、コーディネータから本庁舎建設について質問が出された。


■本庁舎建設について

○佐藤さん
 (前項に同じ。分庁舎は住民が困るので、本庁舎方式にする。
 場所とか、地域センター等については発言する機会がありませんでした。)

○田代さん
 分庁舎方式が長く続くのは好ましくない。
 職員の退職を見越して(建設時期を)考えないといけない。
 場所は、角館と、田沢湖に近いところ。

○石黒さん
 本庁舎機能を一箇所に。今のIT時代だからコンパクトにできる。
 本庁舎建設の前倒し立案。
 旧町村の出先(地域センター)は必要。
 場所は、三町村が隣接する地域に。


 本庁舎を作るという点においては3人とも同意見であり、この点においては有権者に選択の余地はない。
 ただし、どのような本庁舎にするか、つまり大きく本庁舎に一本化するのか、本庁舎機能だけの最小限の構成とし地域センターと並存させるかなどについては考えが異なっているように思う。これについては時間がおしていた為詳しい話が聞けなかった。選挙期間中にそれぞれの考えを明らかにしてほしいところだ。


■市長になったら必ず実現する公約

○石黒さん
 市民の声を吸い上げる仕組みを作る。町内会の声を吸い上げる機構を作りたい。
 本庁舎建設の前倒し立案。市庁舎は、市民融和のシンボルである。

○佐藤さん
 全てのことに優先して市民のことを考えてやる。
 矢祭町の町長のいいところを真似したい。
 自分の給料は下げてもいい。

○田代さん
 すぐやる課を作る。
 行政懇談会を定期的に開催。
 地域間でバランスの取れていなインフラ整備。

投稿者 taguchi : 2005年10月26日 01:38

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