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2008年04月25日

『知事との内陸線トーク』

 本日、『知事との内陸線トーク』という会に参加してきたので簡単に概要を記します。


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場所:交流センター
日時:平成20年4月25日15:00~16:00
出席者:寺田知事、県の担当職員(県行政)
    石黒市長(仙北市)
    内陸線沿線の住民、及び角館の住民(およそ50人)
    報道関係者5,6名


■会の概要
 この会は「知事との内陸線トーク」ということで、内陸線に乗りながら地元住民と対話をし、角館に到着後「交流センター」に会場を移して、角館の住民も加わって対話するというものであった。
 はじめに寺田知事の挨拶、県の担当より内陸線の現状についての資料説明があり、その後参加者の意見に対して知事が答えるという形で進められた。

 今回が第1回目で、このあと2回目、3回目があるようなことを言われていたので、結論を出すと言う9月までにあと1回か2回同様の会が設けられるものと思われる。

■知事発言概要
 参加者から知事に対して「存続してくれるようお願いする」旨の発言が何件かあったが、知事はお願いされた事に対して「そういう事ではなく、地元自らが存続の為にどういう行動を起すかだ」という旨の返答をされ、県がどうするかではなく地元がどうするかが問題だという事を言われていた。
 内陸線への思いを語っての存続嘆願に対しては、一貫して“No”という姿勢であった。
 最後の挨拶でも、地元が本気になって内陸線を残す行動を起こせば存続は可能だと思うが、そうでなければ存続はできない、という事を言われており、地元の積極的な取り組みを強く促しているように感じられた。

 また、観光客による収益はプラスアルファであり、地元住民の利用が大事だと何度も言われていた。それに対して石黒市長からは、観光客の利用や、鉄道事業以外の事業によって、地元の足としての内陸線を存続させていけるように考えるべきではないかとの発言があった。

■その他発言
・内陸線で移動中の議論で、月当たりもう700人乗ればなんとかなるという話が出たらしい。(もしかしたら月ではなく日当たりか?)
・沿線住民の方から、小中学生の対外試合の際の移動手段や、町内旅行の際に利用していきたいという話があった。この方は、内陸線の具体的な現状については今日はじめて知ったと話しておられた。(沿線でも必ずしも具体的な状況は周知されていないのか?)
・知事が「ある人が、内陸線の線路脇に桜を植えたらどうかというアイデアを言っていて、10mに1本で100kmで1万本。両側で2万本。桜の苗ぐらいだったら県で出してもいい」ということを言われていた。
・参加者からの仙北市民全員に回数券を1,000円分購入させてはどうかという意見に対して石黒市長は一時的な効果しかないので反対と言われていた。

■配布資料の説明内容
「秋田内陸線の現状」
・H18年度実績での赤字は年間2億6千万円。これを県が1億2千万円、沿線市町村が1億2千万円負担し、内陸線が基金を取り崩して2千万円出している。
・10年後の利用者数は、30万人台になる。
・観光客は微増している。
・定期利用は大半が高校生。

(クリックで拡大します)


「秋田内陸線の今後の主な選択肢」
・公有民営化については、担当部署より地元自治体に負担が移動するだけで全体としては変わらないという説明があった。
・廃線となると、施設の撤去等で50億円ほどかかるとのこと。


(クリックで拡大します)

■感想
・1時間では時間が短すぎた。知事は「仙北市、北秋田市合わせて全員協議会を作って徹夜で議論するぐらいでないと」と言われていたが、その割にはあっさり時間切れで終了してしまったのは残念。

・「秋田内陸線の今後の主な選択肢」という資料で、『公有民営化にした場合、地元自治体の負担が増える』等と記述されていたが、ここは疑問に感じたので会が終わってから県の担当の方に確認した。

 「収支」の欄に、“地元自治体の収支(実質負担増)”と書かれていて、“県”は負担しないかのような印象を受けたのだが、ここで言う“地元自治体”とは“県”も含んでいるとのこと。また、既に県と、市で2億4千万円負担しているのだから実質負担増になるわけでもない。
 「デメリット」の欄に、“一般に地元自治体の負担が拡大”とあるが、これは一般論であり、内陸線の場合は必ずしもそうではないとの事。一般に、鉄道会社で赤字が出た場合は県や、市町村が補填せずに鉄道会社の累積赤字としており、公有民営化に移行した場合設備のメンテナンス費用が自治体負担になることを指しているとのこと。内陸線の場合は既に赤字を県と、市町村で負担しているので公有民営化になったからと言って新たに負担が増えるわけではない。
 ここは誤解を招く表現なので記述を改めるべきだろう。

・県の財政が厳しいとの話があったが、県の一般会計約7,000億円に対して、内陸線への助成金1億2千万円は0.02%程でしかない。公共交通機関に対して県が助成するのは普通に行われていることだし、この程度の額であれば直感的には県の財政にインパクトを与えるとは思えない。素人考えではあるが、むしろ少なすぎる気すらする。
 一方、仙北市は一般会計180億円に対して6千万円(?)の負担だから0.3%ほどである。

・「秋田内陸線の現状」の資料に過去の利用者数の推移と、経常赤字の推移のグラフがあるが将来見通しが記述されていない。住民が存廃を考える際の材料としては将来見通しは必須だと思うので追加して記述して欲しい。

・知事は、廃線云々よりも地元が危機感を持って何か行動を起こす事を促しているように感じられた。


 以上。

 ちなみに、私は特に存続を強く望んでいるというわけでもないんですが、ただ廃線ということになると復活は不可能なので廃線はもったいないなぁと思っています。

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投稿者 taguchi : 2008年04月25日 20:01

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