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2007年08月17日

もうちょっと夏が続けばいいのに

 連日の焼けるような猛暑が過ぎ去ってやれやれと思っていたら、なにかもう夏が過ぎ去ってしまったかのような天候が続いている。しばらくこんな天気がが続くようなのでこのまま秋を迎えるのかもしれない。日中あれだけやかましかったセミの声が遠くなり、陽が落ちてから聴こえてくる秋の虫の声が大きくなってくると「もうちょっと夏が続けばいいのに」なんて思ってしまう。

 角館に戻ってきてからブログを一度も更新をしなかった。角館にいるのだから書くネタは東京にいるときよりも沢山ありそうなもんだが実はあんまりなかった。というか書こうという意欲が湧いてこなかった。帰ってきたばかりの頃には心を動かされた黒く澄んだ夜空や、朝の六時半に鳴り響いてくる学法寺の鐘の音も三ヶ月経った今ではもうなんとも思わない当たり前のものになってしまった。毎年お盆の時期に帰省すれば時間を惜しんで武家屋敷の辺りに写真を撮りに出かけていたが、今年は一度もでかけなかった。その気になればいつでも行けるからということもあるのだけれど、角館の住民となった今となっては私にとって角館は日常の生活の場であり、もはや特別な所という感覚は薄れてしまったようだ。以前、室生犀星の「ふるさとは遠きにありて思うもの...」という詩について書いたことがあるが、犀星がどのような想いで詩を書いたかは別にして、詩の字面の意味は正にその通りだと思う。

 東京に住んでいるときから、角館に住んでいる人たちの書いているブログを見ているが、“角館”をテーマにしたエントリというのはほとんどない。「せっかく角館に住んでいるんだからもっと角館のことについて書けばいいのに」なんて思っていたが、今はそれもうなずける。
 離れているからこそ、ふるさとの町への想いは募る。また、日ごろ異なる風景の町に住んでいるからこそ角館の風景の中に角館らしさを感じるということもあるだろう。角館の人たちが日ごろなんということもなく目にしている風景の中に、よそから訪れる観光客の心を動かす角館らしい風景が潜んでいるのかもしれない。

 さて、本ブログはこれからも“角館”にこだわって文章を書いていきたいと思っている。
 これからブログを書き続けるに当たって、外から見た角館を書くのではなく、中で生活する者の視点で角館のことについて書いていくことは可能かもしれないが、私のような筆の遅いものが文章を書くにはそれなりにエネルギーが要る。“角館”のことを書くなら、“角館”についての想いが蓄積しないとなかなか書けない。角館の中で生活しながら、外からの視点も失わず“角館”について書いていくしかないのかなと思っている。

投稿者 taguchi : 2007年08月17日 22:40

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