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2005年11月06日

本庁舎について考える

 このサイトのトップページで行っていた投票「市長選挙:私が注目する政策課題は?」(投票は先月末で終了)で「市役所建設」に最も票が入りました。
 全体の数が少ないのでなんともいえませんが、ちょっと意外であると同時に「やっぱりそうなのかな」という気もしました。

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 「市役所建設」。
 角館町が合併協議会からの離脱した時、田沢湖町角館東前郷に作るという話になっていたとか、いないとか言う話が出たあの「市役所建設」。
 どこの市町村も合併に際して「自治体の名前」と、「市役所の場所」でモメています。仙北市では、自治体の名前は決まりましたけど、もう一つの懸案がまだ残っているわけですな。
 大仙市みたいに市の真ん中に大きい町があるところはいいんですよ。仙北市は中心部に町がありませんからどうしても引っ張り合いになってしまいます。

 さて、どのぐらいのお金で建てられるんでしょう? こういった方面にはまったく疎いので見当もつきませんが多分何十億円でしょう。
 これから仙北市は10年間で200名の職員を削減する計画だそうです。現在の職員数が950名だそうですから2割ほど減る事になります。その後も人口の減少に伴って職員数は減少していきますから、役所のオフィススペースはこれから空きが増える一方なわけです。そんな今、大金を投入して本庁舎を建設して更にオフィススペースを増やすというのはどうなんだろうかと思います。私は貧乏性なもんで単純にもったいないと思います。


 公開討論会の時に、コーディネータ氏が会場に集まった人たちの声として「分庁舎方式なんて不便。あんたら何考えてんの?」という意見のあった事を紹介していました。
 これを聞いて私は首を傾げてしまいました。「そんなに不便か?」

 役所に行く用事といったら一番多いのは住民票とか、戸籍抄本の交付でしょう。あと国民年金、市民・県民税、国民健康保険とかの関係でしょうか? あとは、...印鑑登録とか...。住民登録、婚姻届、出生届、死亡届なんて一生のうちに何度かしかないし。
 で、こういった直接住民が利用する窓口サービスは全て各地域センター(いままでの役場)でできるようになっています。
 本庁舎を造るとしたら各町村の境目の辺りに造られるんでしょうから、どの町村からも今より遠くなってしまいます。歩いては行けないし、自転車でも辛い。冬は無理。却って不便だと思うんですけど...


 石黒さんは、各地域の出先は必要だと言われています。IT時代なのでコンパクトにできるとも言われていますから、分庁舎は残して本庁舎と並存させる考えのようです。本庁舎に1本化するよりはずっと良い考えだとは思いますけど、そもそも本庁舎を造る目的、効果は何でしょうか?

 石黒さんは「本庁舎は市民融和のシンボルだ」と言われましたが私はそれはどうかと思います。下手をすればどこに造るかでモメて「市民不和のシンボル」なんて事になりかねません。(うまくまとめる事ができれば“雨降って地固まる”になるかもしれませんが。)
 普通に考えれば本庁舎を作る効果は業務の効率化でしょう。分散しているより集まっていた方が仕事の効率はいいでしょうから。しかし、問題はその為に支払う建設コストです。何十億円という金額に見合うだけのコスト削減効果があるのか? もちろんあるならなんの問題ありません。大いに造りましょう。
 逆に言うなら、削減されるコストに収まるように造ればよいという事になります。石黒さんは公開討論会の時に「投資対効果」という事を言われましたが本庁舎建設に於いてもそれは当てはまる事だと思います。


 さて、職員間の連携を高め、業務の効率を上げる方法は、本庁舎建設だけかというと現在のIT社会では必ずしもそうではありません。
 各分庁舎をネットワークで接続し、メールや、グループウェアを活用したらどうでしょう? 電話もIP電話にすれば庁舎間はかけ放題です。設備の導入にお金がかかりますが、本庁舎の建設コストに比べれば微々たるものです。
 庁舎はこの先何十年も使うものですが、そういう長いスパンでITの発達を考えてみるとどうでしょうか? 今の技術でもできますが、TV電話や、TV会議は今よりも更に高品位に、安価に利用できるようになるでしょう。
 そういう時代がそう遠くない将来にくるであろう今、本庁舎建設に大金を使うというのはどうなのか? そういう事も考慮した方がよいように思います。

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 それと本庁舎機能というのは、企業で言えばコストセンターでしょう。同じお金を投入するのなら、将来利益を生み出す産業振興や、直接的な市民サービスの向上に使うのがあるべき運営のような気がします。庁舎建設にいくら金をつぎ込んでも後で利益を生み出してはくれませんからね。

 石黒さんは本庁舎を前倒しで建設したいと言われておりますが、予算は限られているのですからやはりここは全体の予算・計画の中に位置づけて議論するのが正道だろうと思います。「どこに造るか」という事でこの件に関心が集まりがちですが、この件だけを他から切り離して議論するのは好ましくないように思います。

 そう、20年、30年先までのこの地域のグランドデザインの中の一要素として議論した方がいいと思いますよ。


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(*1) 各行政サービスをどの分庁舎で受けられるのか調べようと思って仙北市のサイトを見たのですが分かりにくかった。
 トップページに“住民移動の届出”、“戸籍の届出”とあったので、きっとそこに書いてあるんだろうと思って見たら、届出先が“本籍地か住所地”としか書いていない。「これじゃどこの分庁舎だかわかんねぇよぉ(泣)」
 で、どこに書いてあったかというと、“各課別の紹介”というページに、地域センターの市民窓口班が行う業務のリストの中にあった。
 住民にすれば、どの課が何をやっているかなんて興味は無い。自分が利用したいサービスがどこに行ったら受けられるか分かればいいだけだ。

 このサイトの作りを見ていると、サイトを利用する住民の視点でなく、役所から見た視点で整理されているような気がする。
 見た目はこぎれいなサイトになったが、内容的にはいろいろ課題があると思う。これはまた後で書いてみたい。

投稿者 taguchi : 2005年11月06日 23:53

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