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2005年03月18日

【合併6】合併で得るもの、失うもの

 合併推進を唱えた石黒さんが当選をしました。

 石黒さん4,843票、太田さん4,134票。709票差という実に僅差でありました。

 当サイトの投票では、

合併した方がよい:13票
単独立町の方がよい:27票
どちらでもよい:1票

という結果で、単独立町が2/3を占めておりました。
 “祭りばがけの会”の掲示板でも単独立町が優勢のようでしたので、ネット上の傾向と実際の投票結果とはかなり開きがあったわけです。
 その原因は考察を要するところですが、とりあえず次の点が指摘できます。

 ・本サイトの投票の合計が41票という事で、絶対数が少ない
 ・“祭りばがけの会”も、本サイトも旧角館町内の人のアクセスが多い
 ・PCを持ち、ネットに接続している人の意見に限られる

 旧角館町内に住み、PCを持ち、ネットに接続している人達と、そうでない人達の間に、合併について大きな意見の開きがあったという事でしょうか。


合併で得るもの、失うもの

 さて、合併推進派の石黒さんが町長に当選し、角館町は三町村での合併に向けて作業を進めていくものと思います。
 まだ、途上の事なので今こういう話をするのは適当でないかもしれませんが、合併で得るものと、失うものを考えてみたいと思います。


<<合併で得るもの>>

・財政の安心感
 合併で得るものは、なんといっても当面の財政の安心感でしょう。
 この10年で(借金も含めて)100億円以上の事業を行えますので、この10年間に建て替える予定だった学校や、病院などの建設の財源とすることができます(ただし、合併と直接関係のないこういったことにこのお金を使えるならば)。
 ただ、前にグラフで示しましたように国や県から入ってくるお金が単独立町を上回るのは当初10年間だけですし、合併特例債の3割の償還(返済)をしなければなりませんから、逆に11年目以降は厳しくなる事が予想されます。
 また、これは三町村で公平、公正にお金が使える事が前提で、2対1の構図が今後も続き、お金が偏って使われるならこの限りではありません。協議会再開に際して、2対1の構図はきちんと解消する必要があります。

・景気への好影響
 この10年で(借金も含めて)100億円以上が建設事業に使われ、地域にお金が落ちるでしょう。単独立町の場合は緊縮財政にならざるを得ないでしょうから、合併した方がこの10年の地域の景気にプラスの効果があります。
 ただ、注意が必要なのは、単独立町に比べてという事であって、現在に比べてという事ではない点です。グラフを見ていただければ判るとおり、合併特例債等でお金が入ってきても、普通交付税が減っていきますので、その分減額して考えなければなりません。
 
・角館南高校の存続
 これは、実際のところどうなんでしょうか?
 角館南高校出身の方は、これを判断のポイントにされた方も少なくないと思うのですが、県立高校ですし、合併にはあまり関係ないようにも思うのですが... 今後の動向を見守って行きたいと思います。

<<合併で失うもの>>

・自決権
 あまり意識されてないと思うのですが、合併推進の石黒さんが当選し、このまま合併すれば、角館の人が角館町の為に投票する選挙は今回の町長選挙が最後の選挙だったということになります。
 “角館町”がなくなるのだから当たり前だと思われるかもしれませんが、“仙北市角館町”という住所が存在し、自治体と関係なく「角館」という“まち”が存在し続けても、そこに住む人たちが自分達の“まち”のために投票する選挙は今回が最後になります。議会もなくなり、単独の予算もなくなりますから、これからは角館の(行政上の)事を角館の人達だけで決めることが出来なくなります。

・「おらほの町」へ集まった熱い思い
 合併で失う一番大きなものは、今回の事をきっかけに「おらほの町」に集まった熱い思いのような気がします。
 “祭りばがけの会”の掲示板に、単独立町した場合の厳しい財政状態を乗り切るために町民がボランティアで除雪や、施設の修繕などをしようじゃないかという事を書かれた方がいらっしゃいました。「おらほの町」の為なら、知恵も出すし、汗もかく。そんな「おらほの町」へ集まった熱い思いが、合併によって消えてしまうのはとても残念です。
 「ボランティア程度じゃ追いつかない」とおっしゃる人がいるでしょう。財政的には確かにそうかもしれません。
 しかし、特例債や、補助金は、外から入ってくるお金です。景気の下支えにはなっても、根本的にこの地域の経済を良くするわけではありません。詰まるところ、町の経済・社会を良くするのは、町の人達一人ひとりのがんばり以外にないと思います。

 国が示した10年間で普通交付税の3割削減(するらしい)は、単独立町には厳しい条件です。合併は、現実的な選択だったのかもしれません。しかし、長期的に見たとき、活力ある豊かな地域社会を作る為には、「おらほの町」への熱い思いこそ一番必要なものではなかったかと思うのです。


参考:単独立町する小坂町では、「未来創生基金」という町作りの為の基金を創設し、住民や、町外に住む小坂町出身者から寄付金を募るとの事。 さきがけonTheWebの記事

投稿者 taguchi : 2005年03月18日 01:20

コメント

単独立町される町は、財政的にはきびしく、変えていかなければならないことは多いと思いますが、自分達の町を自分達で作ってゆくというその過程の中に地域の活性化といいますか、喜びや、豊かさといったものがあるのではないかと思います。
羽後町さん、小坂町さん、藤里町さん...など、単独立町されたところが、10年後どんな町になっているか楽しみにしています。:-)

投稿者 20年ぶり : 2005年04月03日 14:07

合併は県によって温度差があり、賢い西日本の合併率はかなり低いようです。東北でも他県は秋田県ほどではありません。合併のメリットばかりを並べ立てたパンフは県の過度な介入によるものと考えられます。このサイトのように合併の真実がが分かっていれば単独を検討するものです。羽後町長は分かっていて県の介入と秋田県民へのミスリードが我慢ならなかったのでしょう。ちなみに県の介入は市町村のためでなく自説へのはめ込みだと思われます。

投稿者 カクダテマケマケ : 2005年04月03日 01:45